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保存瓶の消毒の仕方と保存食づくりのための脱気の方法を改めておさらい。

保存瓶いろいろ

保存食作りは日々の営みを豊かにします。それらを長く保存するためには、菌をできる限り排除し、できる限り空気に触れないようにすることが大切です。

ここでは、保存用ガラス瓶の殺菌消毒の方法と空気を抜く脱気の方法を記します。安全に美味しく保存食を楽しむために、一番肝心といっても過言ではない工程です。

方法は簡単だけれど、少々手間。でも、しっかりこれらを行うか行わないかで、保存期間に差が出ます。せっかく作った保存食で食中毒を起こしてしまったり、結局食べられなくなってしまうことがないように、念入りに丁寧に殺菌消毒を行いましょう。

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目次INDEX

保存容器(ガラス)を煮沸して消毒する

熱湯を使って菌類を死滅させる方法です。比較的小さなガラス瓶に向いています。長い間保存する目的の場合は、煮沸消毒のほうが確実と言えます。

やり方

1、ガラス瓶やフタを綺麗に洗浄します。

2、大きな深さのある鍋を用意して、鍋底に清潔な布巾やガーゼなどを敷いて、ガラス瓶やフタを入れます。

※鍋底に布巾を敷くのは、ガラス瓶に直接熱が加わって、割れないようにするための予防策。すのこなどを敷いても良いです。

3、常温の水をガラス瓶が全体的に隠れる程、注いで火にかけます。全部に水がかぶるのが理想です。

※必ず常温の水の状態から火にかけます。熱湯の中にいきなりガラス瓶を入れると急激な温度変化で割れる危険性があります。それは例え、耐熱ガラスであっても起こる可能性があるので注意します。常温の水からというポイントをきちんと守れば、耐熱性に不安があるガラスジャーでも、意外と大丈夫だったりします。

4、沸騰したら、5分程そのまま煮沸します。金属製のフタなどで、変形が心配な場合は最後の方に入れるようにすると心配がありません。

特にゴム製などのフタは変形する恐れがあるので、最後に30秒程度くぐらせる程度に留めるのが賢明です。

5、火傷に注意しながらトングなどを使って、清潔な乾いた布巾やキッチンペーパーの上に、ガラス瓶の口を下向きにして取り出して水分を切り、乾くまでしばらく置いておきます。熱さですぐに乾きます。

乾いたものや生のもの、常温のものを保存する場合は、ガラス瓶が乾いてから詰めるようにします。加熱調理の保存食、または再加熱が可能な保存食を詰める場合は、保存食のための煮沸と脱気の工程に進んで下さい。

保存食のための煮沸と脱気をする

加熱調理の保存食を詰める場合は、保存食の調理が終わるまでガラス瓶は湯に入れておき、出来上がった段階で取り出して調理した保存食を詰めます。

※なるべく、調理したものとガラス瓶の温度に差がないうちに詰めるということがポイントなので、冷ました方が良い場合もあります。

6、調理した保存食を瓶に詰めます。

空気が入る余地がないように、口のフチから、2cmほどのギリギリまで入れるようにします。ただし、瓶の口のフチまでビッシリ入れないようにします。(後の煮沸による熱膨張で溢れてしまうので)

気泡ができないように意識して行い、瓶の口に付着したものはしっかりと拭き取ります。

7、再び煮沸消毒(脱気)を行います。

お湯が入った鍋に、フタを閉めない、または軽く閉めて保存食を詰めたガラス瓶を戻して再び火にかけ、沸騰してから15分~20分ほど念入りに煮沸します。瓶の上1/3 くらいは顔を出している状態にして、お湯が瓶の中に入らないように注意します。蒸気によって空間が満たされ(内圧上昇)、空気が出ていきます。気体の入る余地がなくなるというわけです。これで脱気が行えます。

※メイソンジャーなどのフタなら、中蓋をおいて煮沸すれば脱気が簡単です。

8、仕上げの煮沸消毒をします。

脱気をしたら、すばやくフタをしっかりと締めて、さらに5分くらい煮沸を続けます。フタも含めてまるごとガラス瓶全体が煮沸されるようにするのが確実です。(瓶を横にしたり、深い鍋なら瓶は立てたまま、お湯を足したりします。)※立てたままのほうが理想的。

9、鍋から取り出して冷まします。

火を止めて、火傷に気をつけながら鍋つかみなどを利用して取り出し、そのまま常温まで冷まします。冷めてくると蒸気が液体になり(内圧が減少)、フタがギュッと瓶の内側へ引っ張られるような状態になります。これで、保存瓶の中は真空になったと言えます。

ガラス瓶の中が真空状態になっているかどうかを確認するには、フタの機能性によりますが、フタの表面の中央部分がくぼんでいるかで確認できます。

※取り出して冷ます時に、フタを下にして逆さまに置く理由は諸説ありますが、もしもの場合の予防策というか補助的なものと言えます。たとえばフタの締めが甘く、隙間があったと仮定した場合、逆さまにすることで内容物がフタに密着し、物理的に空気が入る余地がなくなるので、そのまま内圧が減少すれば脱気が成功するというもの。

脱気に成功していることが確実であれば、そのまま逆さまにせずに冷ませば良いと思います。

長く保存するためにも、丁寧に行うことが大切です。ガラス瓶を取り出した時や、調理した保存食を詰めた際など、菌はいつでも侵入するシチュエーションを狙っています。より確実に菌を死滅させ、密閉保存するためにもこの工程を省かないことが重要です。

※開封したら、なるべく早く食べるようにします。スプーンなどで取り出す場合も清潔なものを使って下さい。神経質なくらいに気を使うことで長く保てます。

保存容器をアルコールで消毒する

果実酒用の大きなガラス瓶など、鍋で煮沸消毒することができないものはアルコールを使って菌類を死滅させます。耐熱ガラスではない瓶やプラスティック製のものを消毒したいときもこの方法で。

また、長い期間保存する目的がないものや、常温のものをすぐに保存したい時などに、アルコールでささっと消毒するのも手軽です。

除菌用アルコールを選ぶポイント 

アルコール度数60度~70度程度のものであれば短時間で殺菌が可能と言われ、効果も高いことが知られています。手に入りやすい度数のもので対応し、度数は40度~45度以上のものを選ぶようにします

※90度などの度数が高すぎるものは揮発時間が早く、消毒しきれないことがあるので注意です。

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消毒用エタノールを常備しておくのも理想的と言えます。食品にかかっても大丈夫な自然由来のものを選ぶようにします。

また、飲料用として流通しているアルコールを使う場合は、ウォッカや焼酎などの純度の高いものを選びます。

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一般的に果実酒づくり用として流通しているホワイトリカーなどが手に入りやすいのですが、度数は35度前後と低め。実際、この程度の度数では菌の殺菌力は弱く、少々の菌は残ってしまいます。なので、使う場合は完全な殺菌は期待することはできません。気休め程度の殺菌力と捉えておく方が無難です。

やり方

1、用意した保存容器とフタを念入りに洗浄して清潔なガーゼやキッチンペーパーに逆さま(口を下にして)に置いて乾かしておきます。

2、乾いた容器の中にアルコールを適量注ぎいれます。たくさん入れる必要はありませんが、度数が高いほど揮発が早いことを考慮して下さい。

3、容器全体をゆらしたり揺すったりしながら、容器の内側にまんべんなくアルコールが行き渡るように何度か繰り返します。※度数が低いアルコールは特に、すぐに捨ててしまうと効果が半減するので注意。

4、フタを締めて、逆さまにしてフタの内側にもアルコールが行き渡るようにします。

5、消毒が完了したら、アルコールを捨てて、清潔なガーゼやキッチンペーパなどで拭き取って、自然乾燥させます。

※消毒用エタノールなどであれば、容器やフタの内側に噴射して清潔なガーゼなどで拭き取ってもOKです。

とても簡単です。が、アルコールの種類によっては、全く意味がなかったり、味が変わったりしてしまうこともあるのでアルコール選びのポイントを意識して下さい。

アルコール消毒は100%の殺菌を期待するのではなく、補助的な方法として取り入れるように意識することが大切です。なるべく煮沸消毒を選ぶことをすすめます。

保存食づくりの大切な営みです。