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啓蟄

二十四節気

啓蟄

けいちつ

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啓蟄(けいちつ)3月5日~3月20日頃

土の中から虫たちが地上に出てくる頃。自然界は大地の息吹に包まれていきます。雨が降るたびに大地の装いは一層は春らしくなっていきます。

この時期の自然の営みとくらし

3月に入ればいよいよ春らしさも増してくる大地。春の到来を感じる自然の機微に心を躍る贅沢な季節です。 肌寒い中で、春の日差しを感じるグラデーションな季節の味わいは言葉には表せない密かな決意と勇気が湧いてくるものです。万葉集などの歴史的な書物の中でも春の到来を喜ぶ歌が並びます。

 

春の訪れを感じさせる山菜にも目が離せない頃です。まだ蕾や花開く前の山菜を食べられるこの旬の時期はあっという間です。

 

冬の間は見られなかった虫たちにも出会いはじめることでしょう。冬はさなぎであった蝶も羽化し、菜の花のまわりをひらひらと飛び始めています。 やまとしじみと呼ばれる蝶は日本以南で見られる旬の虫。季節変異をする蝶でこの時期のメスのやまとしじみは羽の色を青紫色に染めます。

 

幼虫が冬を過ごしたのはかたばみと呼ばれる植物の葉。この時期はかたばみも黄色の春らしい小さな花を咲かせます。家紋にも用いられる日本古来より親しまれている花です。きらりと光る紫色の蝶の色彩と春らしい黄色の花々とのコントラストが春の情景を惹きたてます。

 

日を追うごとに草木の様子も変わって、次々にさまざまな植物が花を順次咲かせていきます。開花期を迎えたすみれもこの時期を惹き立てる花。日本には100種類以上のすみれがあるのだとか。その中でも特に日本全国で見られる柔らかく淡い紫色のすみれは春を彩る風物詩と言えます。

 

キリリ、コロロと鳴くのは雀ほどの大きさの可愛らしい、「かわらひわ」と呼ばれる野鳥。寒い時期は暖地に身を寄せていますが春の訪れを喜んでいるかのように温かい陽気に誘われて日本全国の空で見られるように。翼を広げると鮮やかな黄色と黒色のコントラストに魅せられます。

 

3月16日は16団子の日。田の神様が山から里に下りてくる日とされて昔から16個の団子を作ってお供えをする習わしが東北地方に今も残ります。この日は天候が荒れやすく神様に出くわすのを避けるために田んぼには決していけない決まりがあったのだそう。米作りを始めるにあたっての豊作祈願のひとつです。

 

3月下旬頃に入ると桃の開花を迎える時期に入ります。しだれ桃などが咲き誇る姿は立ち止まって見惚れてしまうほど。白や桃色の花が入り混じって咲く、源平桃と呼ばれる品種は庭木としても人気で春を感じる光景が日本全国に広がります。桃の名所も各地にあるので足を運んで春を満喫したいものです。(旧暦ではこの頃が3月3の日の桃の節句にあたります)

風物詩

すみれ、桃の花、しんたまねぎ、蝶、わらび、ぜんまいなど

  七十二候

初候蟹虫戸を啓く(3月6日~3月10日頃)

(すごもりのむしとをひらく)

冬ごもりしていた虫たちが自然界に出てくる頃。大地の息吹が本格化していきます。

次候桃始めて笑う(3月11日~3月15日頃)

(ももはじめてわらう)

桃の花の開花を迎える頃。花が咲くことを昔は笑うと表現していました。

末候菜虫蝶と化す(3月16日~3月20日頃)

(なむしちょうとかす)

冬をしのいでいた、さなぎたちが羽化し蝶として飛び立つ頃。温かくなってきた日差しに舞う蝶が春らしさを際立たせていきます。

旬の恵みや草花

わらび・ぜんまい

初春の貴重な山菜。旬の3月~5月に摘み取って、お浸しや和え物などにして美味しく頂きます。つぼみが開く前のものがベストです。山菜取りに山に入るのも初春の山遊びのひとつ。わらびは日がよく当たる原っぱなどに、ぜんまいは沢沿いや山裾の湿り期のある場所に群生します。たっぷりの山菜うどんも贅沢ですね。

新玉ねぎ

初春に出回る新玉ねぎ。保存には向かないですが、辛みが少なくて甘みがあり、みずみずしいので生でサラダなどにして食べるのも旬の食べ方です。新玉ねぎで作るオニオンドレッシングは格別の美味しさ。

葉わさび

旬は3月~4月。旬にこだわるなら、短い期間なので見逃せない初春の味覚です。葉わさびの醤油漬けづくりは定番の保存食。おそばやおうどんの薬味としても美味しく頂けます。静岡県有東木地区はわさびの一大産地。水ワサビの伝統栽培は世界農業遺産にも認定されています。

この時期の行事

事始め(ことはじめ)

正月行事(神事)が終わり、人々の日常生活が始まるのが2月8日とするのが事始め。(神事では逆になる)この日に無病息災を祈って、お事汁(おことじる)と称して、「ごぼう、だいこん、にんじん、こんにゃく、小豆など」を入れた具だくさんのお味噌汁をいただく習わしがあります。

 

旧暦の2月8日を事始めとしていますが、現在の新暦では2月中旬~3月中旬の頃の季節と重なります。春と共に田畑の開墾を始める時期として残る習わしです。旧暦の12月8日の事納(ことおさめ)と対をなす日とされます。

 

失われつつある行事のひとつですが、春に向けて頑張っていこうとする決意表明も込めて個人の家庭でも祈りを込めながら具だくさんのお味噌汁をつくってみてはいかがですか。

春日祭(かすがまつり)

3月13日に奈良の春日大社で行われる例祭です。勅祭とよばれる天皇の使者が派遣されて行われる重要な大祭で、賀茂祭(葵(あおい)祭),石清水(いわしみず)祭と並ぶ三大勅祭の一つ。

 

歴史は古く平安時代までさかのぼり、藤原氏の氏神を祀るために始まったのが起源とされます。 現在は国家の安泰と国民の繁栄を祈願する儀式として行われます。

 

一般拝観はできませんが、参道沿いから行列を見ることは可能です。 日本という国を日本たらしめている由緒ある勅祭であることは日本国民の一人として知っておきたいものです。

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