ディル

ディルの紹介と育て方。効能や使い方の参考も。

ディル

ディルの概要

学名

Anetbum graveolensL.

科名

セリ科

和名

イノンド(伊乃牟土)

別名

花言葉

「知恵」

開花期

5月~7月

使用部位

葉・種子

原産地

南ヨーロッパ・西アジア

草丈

60cm~120cm

1~2年草

 
 

枝分かれした茎から、ふわっとした羽を連想させる細く繊細な葉が特徴的で、初夏にイエローの小花を密集させてこんもり咲かせる姿がとても可愛らしいハーブです。同じセリ科のフェンネルによく似ています。

 

エディブルガーデンを彩る食べられる植物としても選抜メンバーで、キャラウェイに似た、甘くさわやかな芳香が漂い、葉に触れるとふわっと香るのでガーデニングも華やぎます。

 

甘い香りだけではなく、葉にもピリッとした鋭い辛みもあり、昔から北欧では料理によく使われてきたハーブです。魚料理との相性が良く「魚のハーブ」としても知られています。ニシンの酢漬けやジャガイモ料理などの伝統的な料理にも香りづけとして重宝されてきたようです。

 

東南アジアなどでは、ココナッツミルクのカレーにスパイスとしてディルシードが使われ、イランでは米料理に使われたりと、世界中の料理に登場します。

 

乾燥させた葉や茎はディルウィード、種子はディルシードと呼ばれ、スパイスとして世界的に流通します。

 

茎葉に含まれるモノテルペンやフラボノイドなどの化合物には抗酸化作用があり、カルシムが豊富でビタミンA 、食物繊維、マグネシウムなどのその他の栄養素によって健康増進が期待されるハーブで、メディカルハーブの分野でも積極的に取り入れられてきた歴史があります。 漢方で、種子は「蒔蘿子(じらし)」としても流通します。

 

精油成分のリモネンやカルボンには抗菌作用が期待され、アロマテラピーの分野では頭痛や肝臓の不調、血行不良などを軽減させるサポートが期待されているようです。また、血糖値を下げてインスリン値を正常化し、膵臓機能を助けることもわかっています。

 

エッセンシャルオイルも一般的に流通しているので、芳香浴を気軽に楽しむこともできます。

 

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ディルの種類

基本的にはディルにはひとつの品種しかなく、イノンド属に属す、唯一の植物とされます。ヨーロッパからアジアまで、世界中に帰化して親しまれているハーブとなっています。

 

同じセリ科のフェンネルと非常によく似ているので間違うことがありますが、 フェンネルよりもディルは葉を密生させる点や、成長したフェンネルは根元が白く膨らみ、鱗茎(りんけい)とよばる(球根みたいな状態)ものができる点が見分けのポイントです。

ディルの主な薬効作用

精神安定、鎮静作用、催眠作用、消化機能活性、抗酸化作用、抗菌作用、駆風作用、通経作用

※妊娠中は使用をさけること(特に精油)

ディルの適用症状

不眠、腹部の張り、消化不良、胃の不快感、口臭

ディルの使い方の参考

葉は乾燥すると香りが飛んでしまうので使いたいときに摘んで生の葉を利用するのがベストです。種子は保存が利くので一年中香りも楽しめます。

料理に

ほろ苦さと甘さを兼ね備えた風味、そして、繊細な葉はビジュアル的にも料理を彩ってくれます。生の葉は刻んでマリネやサラダなどにしたり、ポテトサラダやスープの仕上げなどに加えます。ヨーグルトなどに加えても楽しめます。

 

香りが高いのでハーブオイル、ビネガー、ドレッシング、サワークリームづくりにも適しています。特に北欧のサーモン料理などにはよく合います。

 

種子はピクルスづくりの香りづけに用い、特にガーキン(きゅうり)のピクルスには欠かせません。マヨネーズなどに混ぜてディップにしたり、パンや、焼き菓子などに加えて、さわやかなかな風味を楽しむこともできます。

 

ティーに

種子をティーとして飲むと、寝つきがよくなると言われています。また、お腹の膨張感を和らげて消化をサポートしてくれる効果も。

 

胃もたれや食欲不振にはディルシードをそのまま飲み込むという利用方法も。 紅茶やお茶、コーヒーなどに混ぜて飲むのも良いですね。

 

カモミールとブレンドすると、より高い鎮静効果が期待できるとされています。

クラフトに

花はドライフラワーにしたり、フラワーアレンジメントの素材として好まれます。精油成分にはリラックス効果も高いことが知られているので、ディルシードを包んで枕にしのばせたりすると安眠効果も期待できます。

その他

含まれる主な精油のリモネンやカルボンはリラックス効果が高いので、お風呂の入浴剤として使うのも良いでしょう。また、ディルシードを直接噛めば口臭防止にもなると言われます。

ディルの育て方と収穫

好む環境

地中海性の気候を好むので、日本では春と冬が近づく乾燥してきた秋ごろが最も生育が良い。高温多湿の日本の夏は過酷。

種蒔き&育苗

種は春と秋にまく。株間は30cm程度開けて蒔くようにしたい。移植を嫌う植物なので、プランターの場合も直播で育てるのが良い。

定植

3月~4月中旬が定植の時期。直根性で植え替えを嫌う植物なので、苗から植えるときは根鉢を崩さないようにそっと優しく行う。直播きして間引いて育てるのが一番良い。

水はけが良い肥沃な土が適しているので、肥料が施された培養土に赤玉土などを混ぜて通気性と排水性を上げておくのが良い。

肥料

割と肥料を好む性質があるが、与えすぎると香りが減るので元肥がしっかりと施されていれば大丈夫。次の年も楽しみたい場合は秋ごろにお礼肥として緩効性の有機肥料を与えると良い。成長が鈍いなと感じたら液肥がおすすめ。

日当たりと場所

日当たりと水はけが良い場所が適す。じめっとしやすい日陰は避けて。

水やり

表面がしっかり乾いたら鉢底から出るくらいにたっぷりの水を与える。過湿にならないようメリハリをつけて。

病害虫

蝶が好むハーブでもあるので、ヨトウムシやアオムシに出会う頻度は多め。見つけたらすぐに捕獲できるように日ごろからよく観察して。忌避効果の高い自然農薬なども利用して対策を。

 

夏に意識したいポイント

高温多湿は嫌うので梅雨時期から夏の生育はほとんど期待できない。ある程度遮光できる風通しの良い場所に移して夏を越させ、秋にまた楽しむようにしたい。

冬に意識したいポイント

耐寒性はあるが地上部はほとんど枯れる。 基本的に種ができると枯れる1~2年草なので、秋植えしたものは冬を越して春に楽しめるが、春から育てたものは種を取り、翌年また育てた方が葉も柔らかく効率的。

収穫

草丈が30cmほどになったら葉は随時使いたいときに新芽と適度に葉を残しながら収穫する。種子を収穫したい場合は、花が咲いて種が茶褐色に色づいてきた頃に花穂ごと刈り取って、花穂を紙袋などに包んで紐でつるし、乾燥したら振り落として種子を取る。

 

※同じセリ科の植物と混植すると交配しやすいので離して植える。ニンジン、フェンネル、イタリアンパセリなど。種を取る予定がない場合はそれほど気にしなくても。  

※葉を主に利用したい場合は花穂を摘んで育てれば、葉も柔らかく2年は収穫できる。

※そのまま花を咲かせて(花穂ができても放置で摘心しない)、葉も種子も欲張りに収穫できるようにするのも良い。葉も種子も香るが、種子の方が香りが強いのでスパイスとして楽しめるディルシードをたくさん採取できると冬場に楽しめる幅が広がる。その場合は一年サイクルで。

ディルのよもやまエピソード

歴史はとても古く、紀元前4000年前のメソポタミアの南部でシュメール人たちが栽培を開始したと伝承され、古代ギリシャ、エジプト、ローマなどに広がっていたとされます。

 

古代ローマやギリシャの時代の若者の間では、惚れ薬として思いを寄せる相手のポケットにディルをしのばせて、恋が実ることを願ったという逸話も。

 

紀元前1550年ごろに書かれたとされる古代エジプトの医学書「エーベルス・パピルス」には、頭痛を和らげる薬草として記述されています。

 

ヨーロッパでは昔から、夜泣きする子供にディルのお茶を飲ませて睡眠誘導を図ったり、喘息の発作やしゃっくりを止める目的として、葉茎をすりつぶして胸などに塗ったりなどメディカルな側面が期待された記録が残ります。

 

英語名のディルの由来も、古ノルド語で、「和らげる」「なだめる」という意味のディラ (dylla) という単語から。

 

母乳の分泌を促してくれると伝承されるハーブでもあり、産後のサポートが期待されます。また、種子を噛むと口臭予防になるとも言われています。

 

日本には江戸時代初期に渡来したと言われていて、薬草として主に利用されていたんだそう。日本でディルを料理に使うようになったのは近年と言われます。

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