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草木灰の概要と使い方。有機肥料としても土壌改良としても。

草木灰の概要と使い方

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昔から使われてきた草木灰(そうもくばい)ですが、主に焼き畑農業など昔からの農法の副産物なもので、農業における重要な肥料づくりの元祖としての役割を担ってきたものでもあります。農林水産省では特殊肥料として定義し分類されています。

園芸においてもその存在は現在でも多くの場で活用されています。有機栽培を基本スタンスとしている場合は、草木灰が必要に応じて活躍すること間違いなしです。このエントリーでは草木灰の基本的なこと、概要や使い方などをまとめています。

草木灰とは何?

草木灰とは主に木や草を燃やして残る灰のことです。有機物を燃やすとそのほとんどは炭素と水素なので水と二酸化炭素になって分解されるわけなのですが、無機物自体は燃やしても無機物として残ります。その残る無機物が主にカリ成分と言うわけです。

灰自体は有機物を構成する中の無機物だけが残された状態のものですが、植物が育つための三大栄養素の一つであるカリを含んだ有機肥料として位置づけることができます。なので、オーガニック栽培の強い味方になってくれると言えます。(有機物をもとにした無機肥料ということです。)

植物が育つための三大栄養素についてはこちらのエントリーを合わせて参考にしてみてください。

燃やすことによって得られる副産物的なものですが、園芸店やネットショップなどで気軽に入手でき、都市部での購入も使用も気軽にできます。無公害の自然土壌改良資材&肥料です。特に有機農法(オーガニック)で根菜など(ジャガイモ、ニンジンなど)を作りたい場合は常備必須な肥料と言えます。

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草木灰の養分の構成と有機肥料としての機能

有機肥料の多くは緩効性で緩やかにゆっくりと分解されながら効いてくれるのが主流ですが、草木灰はもはや無機物で、水溶性のカリウムが多いので水に溶け出しやすく即効性が期待できます。

含まれている栄養分としての割合はカリ分主体で6~7で大部分を占め、リン酸も3~4程度含まれます。窒素分は含まれません。

カリと言うのは根の生育を司る養分で根肥えと呼ばれます。なので、土台を支える養分としてとても重要な働きをしてくれます。特に根を主体とする植物、根菜類に特に効果的に発揮されるのでとても重宝する肥料です。

また、カリは生育の初期段階で根を発達させることに加え、細胞壁を強化し引き締め、植物が徒長することを防いでくれる働きもします。

ただ、元肥として使用する場合は窒素分が含まれないので、単体では使うことはしませんが、油粕や米ぬかなどの窒素分を含んだ有機肥料と併用する必要があります。

実や果実を実らせるにはリン酸が主に使われるので、花や果実を楽しみたい果野菜や植物に対しては、リン酸も含まれる草木灰は追肥にも効果的と言えます。

実がつき始めたタイミングで、過剰に窒素分を供給することなく、リン酸やカリを補うことができるからです。

窒素が多いと、花が咲きにくく葉ばかり茂り、実付きが悪くなるばかりかアブラムシなどの害虫も呼びやすいので、タイミングとバランスを考慮した追肥が効果的に行えます。ただ、アルカリ質なので多用せずに様子を見ながら少しづつ与えるよう注意します。

注意として、化成肥料との併用は避けなけらばならないとされ相性はよくありません。混用を避けなけらばならない記載がある場合はそれに従って下さい。家庭園芸用ではそれほど気にする必要はないかもしれないですが、生産現場で使われる業務用の化成肥料(過リン酸石灰、硫酸アンモニウムなど)は特に注意が必要です。化成肥料は即効性があり特に化学反応が促進されやすいです。特に元肥とする場合は気を付けます。

とにもかくにも有機栽培には積極的に使われている資材です。

土壌改良にも効果を発揮する草木灰

草木灰は、石灰成分を含むので強めのアルカリ性の資材です。なので、植物の栽培における土の酸性度を中和して改善してくれる働きも期待できます。古土の再生の工程で酸度調整の資材として使えば、元肥としても期待できるので一石二鳥です。

植物の多くは弱酸性から中性土壌を好み、ハーブ類などは弱アルカリ性が良いとされています。植物を育て始めると必ず土は酸性に傾いていくので、草木灰が常備されていれば追肥を兼ねた酸度調整としても効果を発揮してくれるわけです。

石灰というのは固まりやすく、土を硬くしてしまうことがあるのですが、これらの草木灰は土を硬くすることなく土壌改良できる優れものと言えます。

余談ですが、もみ殻などを燃やしたものは珪酸が多く含まれ、根腐れ防止剤としての機能もあります。もみ殻燻炭などと同じですね。

使う量の目安としては、1㎡あたり、30g~50程度が適当とされています。土1リットルで考えるとほんの少量と言うことになりますね。小さじで考えると3分の1程度で、苦土石灰の3分の1程度とかなり少量を意識することが大切です。

これは、pHを0.5~1程度調整する目安となる量なので極端に酸性に傾いた土壌などによってはさらに多く施すこともあるでしょうし、逆に少なめにと言う場合もあることを意識する必要があります。

pH測定器などをガーデンツールとして取り入れておくと適宜対応しやすくなります。下記のエントリーも合わせせて参考にしてみてください。

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防腐殺菌効果としても

アルカリ性なので防腐剤としての役割も期待でき、ジャガイモの栽培の際に種イモを半分にカットして植え付ける農法がありますが、カットの断面に草木灰をつけて、土に植えたときの腐食防止などに活用されたりしています。

また、追肥として施用した場合も芋虫類をはじめとした害虫をよせ付けなくする効果なども期待できるようですが、アルカリ度が強いので極端な使い方はNGです。

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草木灰を使用する際に気を付けるポイント

注意しなくてはならないのは比較的強めのアルカリ性を持っているので、多量に使ってしまうとアルカリ性に偏りすぎてしまい、微量要素の吸収が阻害され、植物の生育が悪くなる場合があるので気をつけます。入手した草木灰の使用量の記載を確認しつつ、少量づつ様子を見ながら行います。

ただ、水溶性なので雨などで流れやすいとも言えるので、露地栽培や屋根のある場合など、状況によってはメリット、デメリットとなることも意識しておくとよいと思います。追肥として使用する場合でも、窒素分を含まないのでそれを考慮したうえでバランスよく、時には窒素肥料も与えるようにします。

軽くて飛ばされやすいので、元肥とする場合はしっかりと土に混ぜ込むようにすると同時に、追肥の場合も溝を掘ってそこに施して土を被せたり、鉢栽培などでも表面の土を少量被せたりするなど飛ばないように工夫して使いましょう。

また、これは苦土石灰などを使う場合も同様なのですが、古土の再生や土壌改良の際には窒素成分を多く含む油粕などに代表されるような有機肥料も間をあけて使用する必要があります。

そうしないと、窒素分がガス化(アンモニア)して土壌から減少してしまうことがあるからです。

草木灰は土壌改良を兼ねた肥料と言う位置づけになりますが、窒素成分がないので油粕などを併用して施肥することが考えられるので注意が必要です。

特に、液化されているような肥料は急激な化学反応を起こしやすいので注意です。1週間~2週間ぐらい置いてから肥料は混ぜ込むようにします。※特に化成肥料を使う場合は厳守です。

よもやま話

参考程度にですが、何を燃やしたかによって石灰成分が含まれる比率が変わり、アルカリの度合いも変わります。木炭などを燃やすと石灰分が20%、わらなどを燃やした場合は石灰分は2%程度と言われます。もちろん、石灰分が多い方がよりアルカリ度は強くなります。カリにおいてはどちらとも大差はないようです。焚火など木材を主流に燃やす灰はアルカリ度が高いということになります。

昔は剪定した枝や落ち葉、コメの収穫後のわらなどを燃やして草木灰を自給していました。古代農業と言えるほどにさかのぼってみると既に肥料として使われていたわけですが、これが経験から肥料分として効果的だと認識されていたということを考えると、原点にヒントが何事にもありそうだと思わずにはいられないですね。

仮に草木灰を自給する場合は、覚えておくとよいのではないでしょうか。現在は野焼きは禁止されていますが、一部の山間部や農林産業の現場も含めて、場合によっては認められているケースもあるようなので、そういった機会は田園型の暮らしであればあるほど訪れるかもしれません。

暖炉や囲炉裏なんかがある暮らしなら自給もできそうですね。まさに循環型の無駄がない昔ながらの暮らしですね。

まとめ

化成肥料ではないのに、化成肥料なみに即効性のある根肥えとして期待できる自然由来の肥料と言えます。

オーガニック栽培にこだわりたい場合は特に常備しておきたい肥料ですし、土壌改良やさらに防虫効果などもあることから汎用性がある資材です。

他の肥料と併用する場合は2週間ほど開けて散布したり、多量に施して土をアルカリ性に傾けすぎないようにするなどの注意点を意識すれば、とても扱いやすく自然の循環も妨げない安心感のあるエコフレンドリーな資材と言えます。