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雨水

二十四節気

雨水

うすい

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雨水(うすい)2月19日~3月4日頃

降る雪は雨へと変わり、大地に命の目覚めを促すころ。この時期は畑の準備を始めるころでもあります。

この時期の自然の営みとくらし

降雪のピークは過ぎ去り、山に積もった雪は少しづつ溶け始めています。大地や田畑を潤すその水は雪汁や雪消の水とされ、雪解けの水によって川や海が濁るさまを雪濁りと言って昔の人々は季節を情緒深く味わいました。

 

春の中に冬が培った自然の趣が溶けだして混じるような大地の光景に風情を感じられることでしょう。雪が降る頻度も減り、変わりに雨が大地に降り注ぐようになっていきます。 早春の雨は雪解けを促し、大地を潤して草木にとっては芽吹きを促す雨となります。 「木の芽起こし」や「催花雨」、「木の芽萌やし」など、この時期の雨にまつわる表現は日本語としても豊かにあります。

 

初春の季語として「藍蒔く(あいまく)」という言葉があります。昔ながらの草木染に用いられる藍という植物の種をまく季節となりました。日本において最も古くに渡ってきたとされる染色植物の一つなのだそう。古来より日本の文化には藍は不可欠な存在でした。

 

山野では気温が上がってくると同時に、霞(かすみ)がみられるようになります。春の霞は自然界をより魅惑的に魅せ、神秘性を帯びさせます。命のエネルギーが大地に浮遊するかのようです。 霞(かすみ)とは霧(きり)のことで、秋は霧、春は霞と呼び分けるところも日本語の情緒深い機微と言えます。霧よりもうっすらとたなびく様子が霞と呼ぶ所以なのだとか。

 

春の風の穏やかな青空の元、枯れ草を焼き払う習わしがあった野焼き。奈良の若草山や京都の大原、山口の吉台などでは春の風物詩として行われています。野焼きは自然保持のために大きな意味があるのが実際ですが、諸問題により一般的にはみられることは少なくなっています。

 

春の気配が日に日に増してくるこの時期は道端の野草に目を向けて春へ思いをはせることも多くなることでしょう。黄色の菜の花が目にとまり、春らしさを感じる瞬間に前向きな気持ちにさせてくれることも。

 

菜の花とひとくくりにするには実際は多種多様です。アブラナ科に属す様々な植物や野菜の蕾たちが菜の花の正体。観賞して楽しみつつ、冬にじっくりと蓄え凝縮された栄養を頂ける春の恵みの一つでもあります。

 

3月初旬は桃の節句を迎える頃です。旧暦ではもう桃は開花していますが、新暦の3月3日は桃の花はまだ蕾の頃。桃の開花はまだかと心待ちをしながらの桃の節句となります。

風物詩

野焼き、菜の花、春キャベツ、伊勢神宮詣など、ひなまつり

  七十二候

初候土脈潤い起こる(2月19日~2月23日頃)

(どみゃくうるおいおこる)

生命の活動の源となる早春の雨が大地を潤し始める頃。畑の準備も始まります。

次候霞始めて靆く(2月24日~2月28日頃)

(かすみはじめてたなびく)

春の霞がみられる頃。うっすらと漂う霞が山野に趣を加え、冬と春の混在する季節の機微が感じられます。

末候草木萌え動く(3月1日~3月5日頃)

(そうもくもえうごく)

草木が一斉に芽吹きだす頃。春らしさが自然の中に顕著にみられるように。自然界は眠りから覚めるように春の陽気に触れ始めます。

旬の恵みや草花

菜花(なばな)

ナタネ、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カラシナ、ザーサイなどのアブラナ科アブラナ属の花の総称で、いろいろな菜の花を美味しく頂ける旬が来ます。結球しなかった白菜やキャベツなどは、そのまま冬を越させれば早春に菜の花のつぼみが頂けます。花開く前の蕾には鉄分やカルシムなどのミネラルも豊富。お浸しにしたり、パスタの具にしたり、欲張りにいろんな料理に春を告げる菜の花を利用したくなります。

春キャベツ

2月~6月に収穫されるキャベツが春キャベツと呼ばれて出回ります。春のキャベツはみずみずしく葉が柔らかいのが特徴的。また、12月~4月頃のキャベツはビタミンCが最も豊富なのだそう。そのまま塩とごま油でシンプルに春の味を堪能するのも贅沢。外側の硬い葉は刻んでかき揚げに。丸ごと美味しく頂きましょう。 

からし菜

旬は2月~4月の菜葉で、からしの独特の辛みと香りが楽しめる野菜です。野菜炒めやお浸し、漬物、餃子の具などに混ぜていただきます。 金沢の伝統野菜として認定されている日本の古来種野菜のひとつです。種は和からしの原料となります。

この時期の行事

お伊勢参り

江戸時代の中頃、庶民の間で大流行していた伊勢神宮詣のこと。江戸から片道15日、大阪から5日程度の長旅でした。 自由な旅が許されなかった当時は、お伊勢参りだけは通行手形が認められていたことで庶民の夢にもなっていたと言います。

 

道中では京や大阪などの名所に足を運ぶことができる行楽でもあったとされます。 季節は春でもあることから絶好の行楽行事として、現代でも伊勢神宮詣は観光アクティビティのひとつとして、その人気は健在です。

北の菜種御供(きたのなたねごく)

菅原道真の忌日、2月25日は京都の北野神社による祭礼行事のこと。古くは御祭神を「なだめる」と音の通じる「菜種(なたね)」の花を供えるところから、菜種御供と呼ばれていましたが、近年は梅の花を献上し、梅花祭りとして親しまれるように。

 

年によっては雪が舞う季節なので、雪の舞う中で梅を観賞できる趣深い光景となることも。 野点の茶席や出店もあり、賑わいを見せる恒例行事となっています。

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