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ネトル Stinging nettle

ネトルの紹介と育て方。効能や使い方の参考も。

ネトル

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ネトルの概要

学名

Uritica dioica L.

科名

イラクサ科

和名

西洋イラクサ(刺草・蕁麻)

別名

スティンギングネトル

花言葉

「残酷さ」、「悪口」

開花期

6月~10月

使用部位

原産地

ヨーロッパ~アジア

草丈

30cm~150cm

多年草

 
 

ヨーロッパでは歴史が深く、ネトルと言えば、血液の健康を司る重要なハーブの一つとされてきました。ハーブティーにすると干し草のような香りでメディカルな側面が強い印象。浄血作用に優れているのでデトックスや美肌をサポートしてくれるとされます。

 

体内の老廃物の排出を期待して、ドイツなどではよくハーブティーとして用い、ニキビ、アトピー性皮膚炎の予防や花粉症予防などに使われます。 血の主要成分であるヘモグロビンに構造が似たクロロフィルという成分を豊富に含み、鉄分やビタミンCなどがバランスよく含まれているため、造血作用も高く体質改善をサポート。

 

茎は四角く、葉も含めて表面に刺毛(しもう)があり、皮膚に触れるとただれたり蕁麻疹が出ることがあるので注意が必要ですが、ここにヒスタミンという成分が多く含まれ、抗アレルギー作用があります。

 

開花期には円錐状でしだれる様に小さな花をつけます。緑白色なのは雄花、淡緑色なのは雌花でユニークで趣が神秘的な植物です。日本でも全国的に自生するようになっています。

 

ネトルの主な薬効作用

利尿、抗アレルギー、血行促進、浄血、造血、整肌、収斂、消炎

※妊娠中や幼児の使用は避ける

ネトルの適用症状

生理不順、肌荒れ、貧血、花粉症、喘息、リウマチ、痛風、創傷

ネトルの使い方の参考

※葉に鋭いとげがあるため生食には適さず、中毒症状が出ることがあるのでドライハーブを利用するようにします。

ティーに

メディカルな側面が強いので、ハーブティーとして用いるのが一般的。浄血作用で老廃物の排出を促してくれます。花粉症対策、美肌、貧血予防や血行促進も期待できます。紅茶や柑橘系のハーブなどとブレンドすると飲みやすいです。

 

サプリメントとして

乾燥させて散財(パウダー)にし、ストックしておくのもおすすめ。散財にすると抹茶のような風味になり、料理に振りかけたり、ドリンクにして飲むなど、アイディア次第で用途が広がります。

その他

消炎作用があるので、ネトルの浸剤(ハーブティー)で洗顔するのも効果的。肌荒れがひどい時などに美肌目的で肌の鎮静にも。 病害虫予防を目的として、コンパニオンプランツとしてその他の植物と混植するという用いられ方もされます。

ネトルの育て方と収穫

好む環境

西岸海洋性気候~ステップ気候で育つ品種。高温多湿に弱いので日本の気候は少々苦手と言えるが、沖縄から北海道まで広い範囲で栽培可能。帰化している地域もある。

種蒔き&育苗

種からの栽培も比較的容易で、蒔き時は3月~4月。好光性種子なので土は軽く覆うようにする。発芽適温は20℃~25℃で10~20日と発芽するまでの期間は長めといえる。

定植

苗からの栽培がおすすめで3月~4月が定植時期。地下茎で繁殖し、雑草化しやすいので、レンガや枕木などで植える範囲を決めて栽培するようにしたい。

一般的なハーブ培養土でOK。ただ、多湿に弱いので赤玉土などをブレンドして水はけを高めておくと梅雨時期も管理しやすい。

肥料

肥料は多く必要としないが、有機質の緩効性の肥料を春と秋に与えると良い。育ちが悪い場合はひと月に一度程度、液肥で応援してあげると良い。

日当たりと場所

日向~半日陰で、風通しが良い蒸れにくい場所で管理するようにする。

水やり

地植えなら夏場の日照りが続くようであれば時々オン。鉢植えなら土の表面が乾いたらオン。多湿に弱いため乾燥気味でメリハリをつけて与える様にする。

病害虫

病害虫には強いが、カイガラムシや蛾の幼虫の食害が起こることがあるので、日頃からニームオイルなどで抵抗力をつけておくと良い。

 

夏に意識したいポイント

高温多湿は大の苦手、半日陰と風通しを優先して風の通り道に置くようにしたい。水やりも控えて乾燥気味に管理。梅雨時期は刈り込んでおくことで病害虫を予防するのもいい。夏の終わりから再び茂りだす。

冬に意識したいポイント

半耐寒性のため、関東以南などでは越冬は容易。気温が氷点下になると枯れてしまうこともあるが、東北地方などでも越冬は可能なのでマルチングなどをしておくと良い。水やりは根が枯れない程度に時々与える。ひと月に一回程度が目安。

収穫

夏から秋(5月~10月)と長い期間収穫できます。全草を刈り取るか、必要な量の葉をその都度、摘み取って乾燥させて使用する。

 

※春と秋に株分けや挿し木で増やせる。  

※収穫の際は必ず手袋などをして肌を保護することに注意して。

ネトルのよもやまエピソード

ドイツなどでは「春季療法」と言って、春先のアレルギー予防に積極的に摂取されています。

 

アンデルセンの童話『白鳥の王子』の中で、魔女にかけられた呪いを解くための植物として登場します。解毒作用が強いことを象徴しているようです。

 

ネトルの語源はNeedle(針)からきているとされ、それは花言葉にも反映されています。 また学名のUrtica は、ラテン語で「燃える」を意味し、その針のような刺毛は燃えるような痛みを伴うというところからきていて、dioicaはギリシャ語の「二つの家」を意味し、「雌雄異株」を意味しているとされます。

 

皮からは繊維が取れるので、アイヌ民族はイラクサの繊維で織った布や着物をレタルペ(白いもの)と呼んで珍重していたとされています。